法律相談Q&A

相続・遺言・成年後見でよくあるご質問

Q1.

そろそろ子供達のために遺言の作成しておこうと思っています。遺言書には、いくつか種類があると聞いたのですが。

A1.

遺言を残しておくことは、自分の死後の紛争を回避するために、とても重要なことだと思います。

遺言の方式には、よく使われるものとして、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言、といったものがあります。 ①自筆証書遺言は、もっとも簡易な方式と言え、遺言の内容の全文、日付、氏名を自分で記載し、押印して遺言を作成します。  証人は不要ですが、全て自分の手で書く必要があり、ワープロやパソコンで作成することはできません。

②公正証書遺言は、証人2人以上の立会いの下で、あなたが公証人に遺言の内容を伝え、それを公証人が公正証書に記載し、最後に証人と遺言者であるあなたが署名、押印して遺言を完成させる方式です。  公証人や証人が関与し、厳格な方式であることから、遺言の真正について比較的に信用性の高い方式であるといえます。

③秘密証書遺言は、遺言者が遺言書に署名、押印して、封をし(遺言に用いて印で封印し)、遺言者が公証人及び証人2名に封の施された遺言を提出する方式です。  この方式は、遺言の内容を第三者に知られたくない場合などに用いられます。

Q2.

私と兄は2人兄弟で、母は10年前に他界しております。先日老父も病没しました。老父の遺産は、老父が兄夫婦と暮らしていた田舎の自宅と僅かな預貯金ですが、老父の遺言によれば、「不動産、預貯金等、遺産は全て長男に相続させる。」という内容になっております。老父の遺産について、私は何も貰えないのでしょうか。遺留分という言葉を聞いたのですが、教えてください。

A2.

同じわが子といっても、愛憎に差があることもあります。遺言で全財産を相続人の一人に与えてしまえば、他の相続人との間で公平を欠く結果となります。そこで民法では、遺留分という制度を設け、そのような相続人(本ケースでは次男)を一定の範囲で保護しております。

すなわち遺留分とは、相続人が、相続財産のうち、遺言によっても侵害されない部分のことです。

ご相談者のケースでは、まず、お父様の遺産についての法定相続分は長男と次男で各2分の1ずつ、ということになります。 この場合、次男の遺留分は法定相続分のさらに2分の1、つまり、全相続財産の4分の1が次男の遺留分であり、遺言によっても侵害されない部分となります。

よって、ご相談者のケースでは、ご自分の遺留分相当の遺産について、長男に対して遺留分減殺請求等の方法で要求していくことになると思われます。

Q3.

私には、年老いた母と兄、姉がおり、私は次女(末っ子)にあたります。先日、母が亡くなりました。母はもともと地主で、遺産には、人に貸している土地が何筆かありますが、生前にも、兄や姉に、土地の一部を贈与しております。 今回母が亡くなり、兄からは「遺産は、全て平等に分けよう。」と言われましたが、兄や姉は既に土地を貰っており、腑に落ちません。 私は兄や姉に対して、何か主張できませんか。

A3.

特別受益という言葉を聞いたことがあるでしょうか。特別受益とは、生前贈与や遺贈により、遺産分割前にある程度の遺産を取得していると考えられる相続人には、法定相続分に修正を加え、相続人間の実質的な公平を図ろうとするものです。

よって、本件では次女の方は、長男や長女には、生前贈与による特別受益があることを主張し、長男や長女の遺産の取り分を減らし、自分の遺産の取り分を増やすことを主張することができると考えます。

具体的には、例えば遺産の総額が2000万円で、長男、長女がそれぞれ500万円相当の財産を生前に贈与されていた場合、生前贈与の額を遺産の額に加算し、これを「みなし相続財産」(本件では3000万円相当)として、さらに法定相続分(本ケースの場合、各3分の1)で割って、各相続人の取得額を算出します。

そうすると長男、長女、次女、それぞれが1000万円相当の遺産を取得することになりますが、既に500万円の財産の生前贈与を受けていた長男と長女は、実際には、1000万円から生前贈与分の500万円を差し引いた財産のみを相続すべきことを主張できることになります。

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