交通事故の損害賠償額算定の基準には、大きく分けて①自賠責基準、②任意保険基準、③裁判基準というものがあります。
任意保険の担当者は、自社の任意保険基準で賠償額を提案してきますので、これが本来請求できる適正な賠償額とは限りません。
弁護士が交渉した結果、賠償額が大幅に増えたということも珍しくありません(ただし、事案の内容によります)。
現在の訴訟実務では、入通院慰謝料や後遺症慰謝料、逸失利益の算定方法など、或る程度算出方法を定型化しておりますので、まずは弁護士にご相談され、適正な賠償額を算定してから、示談すべきか判断された方がよいと思います。
交通事故の損害賠償で請求できるものの内訳として、例えば後遺症が残った事案では、代表的なものとして①治療費、②入院雑費(入院中にかかる雑費)、③通院交通費、④休業損害(事故により会社を休んだことによる収入減少分等)、⑤後遺症による逸失利益(後遺症により将来仕事が満足にできなくなることに対する賠償)、⑥入通院慰謝料(怪我の治療に対する慰謝料)、⑦後遺症慰謝料(後遺症を被ったことに対する慰謝料)、⑧物的損害(自動車修理費用等)です。
そのほかにも、個別のケースによっては、介護費用や介護のための自宅改造費用、死亡事案での葬儀費用等、様々なものがあります。
人間の人格を形成している脳のもつ高度な機能(記憶力や感動など)を、高次脳機能といいます。
頭部外傷により意識障害(昏睡状態で意識不明など)が発生し、意識が回復した後も認知障害や人格変性が生じることを高次脳機能障害といいます。
大脳深部に損傷がありCTやMRIといった画像検査でも検出しにくいため、かつては交通事故の後遺症としては認定しにくく、低い後遺症等級しか認められない一面がありましたが、現在は、その重症度に応じて、1級から9級までの後遺症障害等級が認定されるようになってきております。
そこで、脳外科等の専門医に高次脳機能障害の後遺症診断を行ってもらい、それを基に弁護士に適正な後遺症損害の請求を行なってもらうことが重要です。